もう1年以上も前からぼちぼちと整備を続けている次期主力顕微鏡予定のオリンパスBHSUで、
MWS製の
対物レンズテスト用プレパラートを観察してみた。
このBHSU、対物レンズは、これまたぼちぼちと集めてきたオリンパスのSPlan Apoシリーズを×10,×20,×40,×100と揃えることができた。また、コンデンサにはMushyさんから安くで分けていただいたNikon製のAAコンデンサ(NA=1.4)を装着している。あと基本的に足りないのが3眼鏡筒くらいなのだが、これが無いためにまだ本格的に移行できないでいる状態だ。
操作性は今使っているオリンパスBHCの方がしっくりとした感じで気に入っているのだが、さずがに光学的な性能はBHSU(BH2)の方が良いようだ。

さっそくこのBHSUで
MWS製の
分解能検査板【RL-TEST】を観察してみた。
予想したとおり普通の照明ではNA=1.4のSPlanApo100を持ってしても270nmの横縞が確認できるだけである。偏斜照明とか輪帯照明とかやってもだめ。偏光観察でもあまり変わらない感じだ。

そこで、偏光+輪帯照明+グリーンフィルターをかけるというのをやってみたら・・
おお!なんとなく200nmあたりの横縞が見えてきたではないか!
3眼鏡筒がないため、E995を接眼レンズに手持ちで押し当てて写真を撮っているので、あまり程度の良い画像ではないのだが、肉眼で見えているのもやっぱりこの程度のかすかな横縞だ。
MWSのページにあるような画像を得るにはまだまだ相当な工夫がいるようだ。

今回、ちょっと無茶をして専門家向けの珪藻プレパラートなどに手を出してしまったのだが、アマチュアでも十分楽しめるものであることが分かった。何より、これで対物レンズの解像限界に挑戦できるということが、とても有意義なことだと思うし、とても嬉しくて仕方がないのだ。
それにしても、
MWS(ミクロワールドサービス)の珪藻プレパラートは、非常に高品質かつ貴重なものが信じられないような低価格で提供されている。特に
リサーチグレードや
エデュケーショングレードなど、お金があれば全部買い占めてしまいたいくらいだ。
顕微鏡を持っている人は珪藻プレパラートをぜひ見るべしと思っている。検鏡技術の研鑽になるのはもちろん、何より見ていて楽しいからだ。時を忘れて南極の海や遠く1千万年以上も昔の海に想いを馳せる・・。時に寝不足にもなりますけど・・。
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- 2009/05/30(土) 21:35:44|
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中途半端に放ったらかしていた一眼デジカメによる顕微鏡撮影を正月あたりから再開していた。
一眼デジカメによる画像がコンパクトデジカメのものより劣るのは、撮影用リレーレンズの性能やらセッティング方法に問題があるためと考えていたのだが、どうもそうではなく、撮影時のミラーやシャッターの振動によるブレの影響が大きいのではないかと思えてきた。
なぜかというと、大型のモニターにライブビュー画像を写し出してやっと気付いたのだが、このライブビュー画像自体は肉眼で見えている画像に対して決して劣っていないということが確認できるからだ。そして、そのままシャッターを切って記録した画像に切り替えると途端にぼやけた画像に切り替わるのが確認できるのである。振動によるブレの影響としか考えられない。
いろいろカメラをいじっていたら、E330に低振動モードというのがあるのが分かった。これはシャッターを切る際、ミラーがアップしてから何秒か時間を置いてからシャッターが切れるよう設定ができるもので、ミラーアップによる振動の影響を回避できる機能である。そのタイムラグを2秒に設定したら、今まで設定していたセルフタイマーも不要となった。(ちなみにこの機能はD300には無い・・)
そしてやはり、この低振動モードを使うことにより撮影後の画像がぐっと良くなるのが確認できたのだ。
しかし、これでミラーアップによる振動は回避できたのだが、シャッター膜(正確にはシャッター羽根か)が走ることによる振動までは無くすことが出来ない。シャッター羽根による振動はミラーに比べると少ないものだが、それでも1000倍の倍率ともなるとシャッターを切る瞬間にかなりのブレが入るのが接眼レンズを覗いていると確認できるのだ。
今まで使ってきたパソコンVAIOにはビデオキャプチャーボードが付いていて、デジカメからのビデオ出力をモニターに表示したり、その画像を取り込んだりすることができることに気が付いた。

これはE330の低振動モードで撮影したウネミケシボウズタケの胞子(1000倍)の画像。
以前に比べるとかなり良くなったが、肉眼で見えている画像に比べるとやっぱりかなり眠たい感じだ。

同じもののモニター画像をパソコン側で取り込んだものがこれだ。
振動によるブレの影響が無いためか非常に鮮明な画像で、肉眼で見えているものに近い。
(なぜだか分からないが、画像は横方向に少し縮小されてしまっているようだ)

確認のためコンパクトデジカメ(E995)のコリメート法による画像も撮影してみた。
これと比較すると一眼デジカメによる画像が決して劣っているということではないことが分かる。
やはり、リレーレンズの性能うんぬんはそんなに問題ではなかったのだ。

残った問題はシャッターによる振動をいかに無くすかということだ。
ブレの影響を少なくするためには、照明を明るくしてシャッター速度を1/1000秒くらいに上げるとか、或いは反対にNDフィルターなどで照明を極端に暗くして10秒くらいの露光をするといったことが考えられるが、どちらもあまり現実的では無いだろう。三脚を使ったカメラの固定もやってみたが、1000倍の世界に対して三脚は殆ど無力だった。
そもそもこのような顕微鏡撮影に対してシャッターを切るという行為が本当に必要なのだろうかと思えてくる。電子シャッターだけで十分なのではないのか?
ミラーアップ→シャッター開放→電子シャッター=「無振動モード」というようなものがあると良いなあと思う。
或いは、ハイビジョンサイズの出力(HDMI出力)ができるデジカメのモニター出力を取り込んでしまうというのも一つの方法ではあるなと思っている。
- 2009/01/28(水) 23:02:22|
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「照明付きで3万円以下の実体顕微鏡を探して欲しい・・」という依頼にやっと応えることができた。
それが写真右側のオリンパスのSZ40。架台が標準品ではない自作品となるが、インバーター式の蛍光灯照明が付き、顕微鏡自体の程度もかなり良いものだ。

左側は私が普段愛用しているNikonのSMZだ。
この2機種は、どちらも広く世間に普及し定評のある実体鏡である。せっかくなので、両機でいろいろなものを覗いて性能を比較してみた。SZ40の試料台に置いてあるのは庭のエノキタケだ。
一見して分かるのが、SZ40の方が図体が大きくてワーキングディスタンス(対物レンズから試料台までの距離)が長いことだ。実体顕微鏡を覗きながらの作業ではSZ40の方がかなり有利となるだろう。また、接眼レンズもSZ40の方がハイアイポイント仕様となっており眼鏡をかけたままでも視野がケラれることなく非常に見やすいものとなっている。倍率もSMZが8-40倍なのに対しSZ40は6.7-40倍となっており低倍率側に有利である。わずかな倍率の差と思われるかも知れないが、実際に覗いてみると6.7倍と8倍の差は歴然としている。
最大倍率での解像度の比較では両機の差は殆ど感じられなかった。
また、低倍率からの解像感や立体感も両機とも非常に優秀で甲乙は付けがたい感じだが、SZ40の方がややコントラストが高く、被写界深度も深いように感じられた。恐らくSMZに比べてSZ40の方がF値が大きい(暗い)せいではないかと思われる。
なお、気のせいかも知れないが、SZ40の画像には何となく不自然な像面の平坦性(?)が感じられるように思えた。これに対しSMZの画像は非常にナチュラルで違和感が全くない。まるで自分自身がミニチュアサイズになって、きのこのひだや花びらの上を歩いているような感じだ。ちなみにこのSMZという実体鏡は恐らく35年以上前の設計で、殆ど進化しないまま現在も生産販売されている超ロングセラーの製品だ。これに対しSZ40の方は比較的新しい(と言っても15年以上前でしょうが)設計だが、現在は生産が終了している。
(これらの比較は、あくまで肉眼観察のみによる私の感覚的なものなので一般的な評価とは違いがあるかも知れません。)
オリンパスのSZ40をこれだけじっくり観察したのは初めてだったが、非常に高性能な実体鏡であることが分かった。SMZと取り替えてしまいたい衝動にもかなり駆られてしまう・・。
これで2万円台というのは許せないような価格だ。依頼主もこれなら文句は言えないだろうな・・。
- 2009/01/26(月) 22:18:47|
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最近どうも忙しくて顕微鏡を触っている暇がない。
おまけに整備しなければならない中古の顕微鏡が2台も溜まってしまっている。オリンパスのBHA(写真:奥側)とBHSU(手前)で、どちらもYahoo!オークションで手に入れたジャンク品だ。
BHAの方はランプハウスと3眼鏡筒部のプリズムが破損している以外はほぼ正常で、接眼レンズに新品同様のSWHKという超広視野タイプのものが付いている。非常に安価に手に入れたものなので、この接眼レンズだけで十分元が取れているのではないかと思う。
BHSUの方は、うまく整備できればメイン機に昇格させる予定で手に入れたものだが、内部の電子回路のヒューズが飛んでしまっていたり、ステージ粗動のストッパーが動かない、視野絞りが固まっている(これは解消済み)などなど問題山積の代物なのである。
時間があれば、じっくりとこれらの分解整備をしたいと思うのだが、暖かくなって雨が降り草木や菌が動き出すと、やっぱり足は外に向かってしまうのだ・・。

これもオークションで手に入れた1冊
昭和52年12月の発行だから、もう30年以上昔のものだ。

30年前のものでも中身は私が今やっていることとほぼ同じなのでとても参考になる。
機材も今使っているものと殆ど同じで、撮影用レンズのオリンパス製FKについては、「125mmのカメラ長で使用すると最もすぐれた撮影ができるレンズである。」と書かれている。「カメラ長」というのが、どの長さをいうのか分からないが、とりあえずこれらを参考にカメラやレンズの位置を調整してみたいと思う。
時間があればやってみたいことが山のようにあるというのは、きっと幸福ということなんだろうなあ・・。
- 2008/03/20(木) 23:01:38|
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オリンパスのE-330による顕微鏡撮影の続きをやってみた。
先ずは×100対物レンズによる画像である。撮影レンズはFK5×。
まあこれだけ見ればこんなものかなあという画像だが、やっぱり何か物足りない。
でも、コリメート法での撮影では避けられなかった「渦巻き模様」が全く出ないのはとても良い。
ゴミのようなものがたくさん付いているのはカメラのCCDに付いたゴミのようだ。

撮影用のリレーレンズを肉眼観察用の接眼レンズWHK10×に変えてみた。
するとどうだろう、撮影倍率がFK5×の時よりもずっと下がっているではないか。
5×よりも10×の方が画像がずっと小さいというのは全く逆ではないのか?
恐らくこれは撮影用のリレーレンズを装着する位置に問題があるではないだろうかと思うが、今日はまだその点は追求しないままにする。

WHK10×による×20対物の画像。
FK5×による画像よりも倍率は低いが解像感は良いようだ。色収差もこちらの方が少ないように思われる。

同じくWHK10×による×100対物の画像。
やはりFK5×よりも色収差は少ないようだが、解像度という点では?である。

これは比較するために撮影したニコンE990によるコリメート法での撮影画像。
予想はしていたが、やはりこちらの方が格段に画質は良い。色収差はやや多いようだ。

同じくE990による×40対物の画像。
やはりE-330による画像よりも切れ味がかなり良い。

これまでの結果、一眼デジカメによる顕微鏡撮影は何とかものになるものが撮影できるところまで来たが、画質はコリメート法に比べまだまだかなり劣っている。
さらに撮影用リレーレンズの位置など考察してみなければならないだろう。
- 2008/02/10(日) 21:50:42|
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